
丸2日かかっていた給与照合業務が30分に。「導入しただけ」を脱した小児科クリニックのAI活用
AIツールは導入してみたものの、実際の業務でどう活かせばいいか分からない。そんな「使ってはみたけれど、成果につながっていない」状態でとどまっている企業は少なくありません。給与照合や人事労務の負担、慢性的な人手不足といった課題は、業種を問わず多くの中小企業に共通します。
東京・亀戸と南千住で小児科を運営する「あかちゃんとこどものクリニック」も、理事長がAIに前向きで、ツール自体は導入していたものの、「日々の業務で具体的にどう活かすか」は手探りの状態でした。今回その一歩を踏み出すために動いたのが、看護部門管理者の大江様。受講のきっかけから手応え、今後の展望まで伺いました。専門職が集まる医療現場で、AI活用はどう前へ進んだのでしょうか。

企業名 | あかちゃんとこどものクリニック |
所在地 | 東京都(亀戸・南千住)※2026年10月に埼玉・浦和で開院予定 |
事業内容 | 小児科診療(地域医療) |
従業員数 | 40〜50名 |
取り組みのテーマ | 導入したAIを、日々の業務で具体的に活かせるようにする |
公式サイト |
導入の成果
受講前の状況
AIに前向きでツール自体は導入していたが、日々の業務で具体的にどう活かすかは手探りの状態だった。
給与照合などの人事労務業務は、ダブルチェックを含めると2日(繁忙時は3日近く)かかり、担当者の負担が大きかった。
受講後の成果
給与照合業務は、情報を揃えてアップロードするだけで、30分で処理できるように(約16時間の削減)。
捻出できた時間を別の業務に回せるため、人手が集まりにくい中でも「少人数で回せる」体制づくりに近づく。
自社の業務課題に合わせたカスタマイズ研修を通じて「AIでこんなことができる」という具体的なイメージが広がり、今後の活用範囲が大きく拡大した。
ツールはあっても、業務での「使いどころ」が見えていなかった
AI研修を受けようと思ったきっかけと、目的を教えてください。
目的は業務改善です。特に人事労務など、人が目を通す仕事ですね。数字が合っているかどうかは、人間がダブルチェックをしてもミスが起きうる一方で、AIの方が正確です。数字は嘘をつきませんから、まさにAIが得意とする領域だと思っていました。
逆に、クリエイティブな部分はまだ人間の方がセンスがあると感じることも多いので、そこは使い分けが大事だと考えています。マウスを動かしてクリックして貼るだけ、といったルーティンの単純作業も、何とか自動化できないかとずっと感じていました。
今回の導入は、どのように決まったのですか?
もともとツール自体は入っていましたが、業務で具体的にどう活かすかは、まだ手探りの状態でした。今回、私から理事長に提案し、以前から構想はありながら保留になっていた取り組みを、実行に移す形で動かしました。
理事長は前向きでしたが、現場全体ではまだAIにピンときていない人も多いのが実情です。だからこそ、まずは実務で確かな成果を一つ作ることが大事だと考えていました。
研修にはどんな期待を持っていましたか?
業務改善が一気に進むのではないか、という期待です。作業時間を短縮できれば、その分を別のことに有効活用できますし、それは社員のモチベーション向上にもつながると思っています。
医療現場という、AI活用が難しい環境で
医療業界特有の、AI活用の難しさはありますか?
一番大きいのは、患者様の個人情報の取り扱いがとてもセンシティブな点です。AIの知識がない人が、患者様の情報をそのまま入力してしまうといった事故が起こる可能性もあります。ですから、業界全体としてAI活用に慎重にならざるをえない背景があります。
また、看護師や医療事務といった専門職は、資格に直結した業務が中心なので、ITやAIの勉強に時間を割く優先度がどうしても低くなりがちです。
そうした中で、AIにはどのように向き合ってこられたのですか?
理事長の方針として「AIやITを活用しよう」という姿勢は明確にありました。実際、広報などの一部の業務では、限られたメンバーがAIを使い始めてもいました。
ただ、それを日々の業務、特に人事労務のような領域でどう活かせばいいかは、正直なところ手探りでした。ツールに触れたことと、実際の仕事を楽にできることは、別の話だと感じていたんです。専門職が多い現場で、誰もが無理なく使える形にどう落とし込むか。そこが越えられずにいた壁でした。
決め手になった「対面」の安心感

数ある研修の中で、クラウドワークスのAI研修を選んだ理由を教えてください。
AI研修を調べると、ほとんどがオンラインで完結するものでした。オンラインはどうしても質問しづらかったり、画面越しでは伝わりにくいことがあったりします。隣でやってもらえるのとは、前提条件が大きく変わると思うんです。
クラウドワークスさんは対面での研修にも対応していただけるということで、そこが大きな決め手でした。質問もしやすいですし、画面を一緒に見ながらシームレスに進められるのは、対面ならではの良さだと思います。
受講前に不安はありましたか?
AI活用全般に対するブレーキとしては、やはり「やり方がわからない」という点が大きいです。専門職は自分の専門分野の勉強を優先したいので、効果があるかどうかわからないものに時間を投資するのが難しい。それと、上長の意向がないと進められないという組織的な側面もあります。今回は理事長が前向きだったので、その点は後押しになりました。
答えではなく「釣り方」を教えてくれる伴走型の研修

実際に受講してみて、どのような印象でしたか?
「魚を与えるのではなく、釣り方を教える」というイメージで、答えをただ渡すのではなく、自分で考えて動けるようになるための研修でした。例を示して「やってみて」と投げるのではなく、寄り添いながら伴走してくれる。そのスタンスがとても良かったです。成果物を出すだけで終わる研修が多い中、今回は明らかに違うと感じました。
自社の業務に合わせてカスタマイズしてもらえた点はいかがでしたか?
最初からABCの順で決まった研修なら、今の時代は自分で調べればできてしまう部分も多いと思います。今回は当院のシフトまわりの業務をお伝えしたところ、事前に参考例まで準備してきていただいて、自社に合わせた内容で進めてもらえました。これはとてもやりやすく、ありがたかったです。
AIに対する意識や姿勢に、変化はありましたか?
もともと、AIを「ボタン一つで何でも完結する魔法のツール」のように捉えている人もいますが、実際には事実と違うことを答える場合もあります。そこを理解した上で使えるかどうかが大事だと思っていました。
研修でAIの注意点や向き合い方を教えていただいたことで、リスクを踏まえた上で「実際に導入できそうだ」という感覚を持てました。AIに相談しながら、自分たちに合った使い方を探していけるんだと気づけたことも、大きな変化です。
丸2日かかっていた給与照合が30分に。専門職こそAIと相性がいい

研修を通じて、具体的にどんな業務改善が見えてきましたか?
一番大きいのは、給与の照合業務です。ダブルチェックも含めると2日、繁忙時には3日近くかかっていた作業が、情報さえ揃えればアップロードするだけで、30分で処理できる見込みです。約16時間の削減になりますから、それだけでも十分な効果を感じています。
削減できた時間は、何に使えそうですか?
補助的な業務の負担が減ります。今は求職者がなかなか集まらなかったり、事業拡大で人手が足りなかったりという前提があるので、少人数でも回せる体制に近づけるのは大きいと思います。
コスト面は、どのように捉えていますか?
一人あたりの人件費で考えると分かりやすいです。たった一つの業務を改善するだけで、年間で一名分に近い仕事が浮くこともあります。そう考えれば、研修にかかる費用は決して高くありません。お金をどこに使うかは企業それぞれですが、私はむしろ安いと感じています。
「専門職はITが苦手で…」という声もよく聞きます。
会話ができるなら、その会話の相手がパソコンになるだけです。むしろ、言葉の力に特化している人ほど向いているかもしれません。この研修はプログラミングの知識も数学の知識も要りません。国語力の方が大事なくらいです。むしろパソコンが苦手だからこそ、今のAIとの相性はいいんじゃないかと思います。
これからは「自分たちで仕組みを作れる」組織へ
今後、AIをどのような領域に活用していきたいですか?
まず取り組みたいのは人事評価のシステム化です。評価は企業ごとの曖昧なルールや感情が介在しやすく、集計作業も大変です。点数化・システム化することで、感情や忖度が入らない、公平な評価ができるようになると思っています。
もう一つは、患者様への情報提供です。人間が24時間対応するのは限界がありますが、AIを活用すれば、必要な人に必要な情報を届けられる仕組みが作れるのではないかと考えています。
研修を受けて、会社の未来像はどう変わりましたか?
予約システムや勤怠管理ツールのような汎用システムは、多くの企業向けに調整されているぶん、自分たちの個別ニーズには合わせられません。でも今は、欲しい機能がはっきりしているなら、最小単位で、自分たちで作っていける時代になってきています。
システムをすべて外に頼むのではなく、自分たちで仕組みを作っていける。その可能性が見えてきたことが、一番大きな変化だと思います。
これから検討する経営者の方へ
AI活用にまだ踏み出せていない経営者の方へ、メッセージをお願いします。
AIに興味がある、使ってみたいと思っているなら、ぜひ自社に取り入れてみてほしいです。社員が「こんなことができるんだ」と気づく瞬間は、組織にとって大きな前進になります。「うちにはまだ早い」と思っている会社こそ、早く始めたほうが、将来の差は大きくなると思います。
最後に、研修を受けてみての率直な感想を聞かせてください。
正直、もっと早く受講したかったですね。それくらい、受けてよかったと思っています。
大江様、本日は貴重なお話をありがとうございました。
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