AI研修に助成金は使える?対象コースと申請5ステップをわかりやすく解説

「AI研修に助成金は使えるの?」
「申請の手間がどれくらいかかるのか知りたい」
こういった疑問に答える記事です。

この記事でわかることは以下のとおりです。

  • AI研修で使える人材開発支援助成金の4コース

  • AI研修の助成額を計算する方法

  • AI研修の助成金を申請する5ステップ

  • AI研修が助成金の対象外になる5つのケース

AI研修は人材開発支援助成金の対象になり、中小企業なら最大で研修費の75%が助成されます(1人あたりの上限額あり)。
事業展開等リスキリング支援コースが、AI導入などDX化に向けたリスキリングを助成の対象にしています。

制度の名前は知っていても、自社の研修が対象になるかまでは判断しにくいですよね?
この記事を読むことで、自社のAI研修にいくら助成されるかと、申請の段取りがわかります。

AI研修に助成金を活用したい場合は、最後まで読んでみてください。

※この記事は、中小企業向けのAI活用研修を提供している「クラウドワークス アカデミー」が監修しています。

AI研修に使える助成金とは

AI研修の費用は、国の助成金で一部をまかなえる可能性があります。

中心になるのは、厚生労働省の人材開発支援助成金です。
人材開発支援助成金とは、職務に関連する訓練を計画に沿って実施した企業に、訓練経費と訓練期間中の賃金の一部を国が助成する制度です。

補助金や自治体の制度もあるため、金額や要件とあわせて次の章から見ていきましょう。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金

生成AIの操作を覚えるだけでは対象外

生成AIの研修でも、ツールの操作を覚えるだけの内容では対象になりません。
助成の対象になるのは、事業展開やDX・GX化に向けたOFF-JTです。
OFF-JTとは、通常の業務から離れて受ける講義形式の研修のことです。

AI研修については、厚生労働省の案内に「AI研修費用は対象経費です」と明記されています。

ただし、対象にならない訓練も示されています。

  • 文字や数値の入力など初歩的な操作だけの訓練

  • 既存のアプリの操作方法を習得するだけの訓練

  • コンサルタントによる指導

職務で使う専門的な知識と技能の習得までカリキュラムに含めると、職務関連訓練として認められやすいでしょう。
なお、令和8年8月3日の改正で、DX・GX化に関する訓練でも「職務に間接的に必要な内容」や「職業人として共通して必要な内容」は対象外と明確化されました。汎用的なプロンプトの作り方だけを学ぶ訓練は対象外、営業担当者が生成AIで提案書の構成案や文章を作成する方法を学ぶ訓練は対象、といった例が示されています。

また、社内DXのプロジェクトリーダーに必要なリーダーシップを身につける訓練は、事業内容を問わず職務関連訓練と判断される例に挙げられています。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)13ページ18ページ21ページ

助成金と補助金は審査の仕組みが違う

助成金は、要件を満たしているかを審査する制度です。
一方、補助金は事業計画を比べて採択する数を絞ります。

2つの違いを以下にまとめました。

比較軸

助成金

補助金

審査の考え方

要件を満たすかの確認

事業計画の比較と選抜

他社との競争

なし

採択件数の枠をめぐる競争

支給されない場合

要件を満たさないとき

採択されなかったとき

採択の競争がないぶん、AI研修の計画は自社の都合に合わせて立てやすいです。

ただし要件を満たさなければ不支給になるため、必ず受け取れる制度ではありません。
AI研修に助成金を使えるかは、他社との比較ではなく自社が要件を満たせるかで決まります。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)10ページ

AI研修で使える人材開発支援助成金の4コース

人材開発支援助成金のうち、一般の企業がAI研修に使えるコースは4つです。

  1. 事業展開等リスキリング支援コース

  2. 人材育成支援コース

  3. 人への投資促進コース

  4. 教育訓練休暇等付与コース

4つのうち上から3つは、研修を実施すると経費助成を受けられます。
経費助成とは、受講料やテキスト代など訓練にかかった費用の一部が戻る助成です。

助成率と1人あたりの上限額は、コースごとに違います。
教育訓練休暇等付与コースだけは研修費への助成ではなく、休暇制度を導入した事業主への定額の支給です。

順番に見ていきましょう。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)2ページ

事業展開等リスキリング支援コース

事業展開等リスキリング支援コースは、DX化に向けたリスキリングを対象にしたコースです。
リスキリングとは、新しい業務に必要な技能を学び直すことです。

内容を以下にまとめました。

項目

内容

対象になる訓練

事業展開・DX・GX化などに関する10時間以上のOFF-JT

経費助成率(中小企業)

75%(大企業は60%)

1人1訓練あたりの上限

・10時間以上100時間未満:30万円
・100時間以上200時間未満:40万円
・200時間以上:50万円

向いているケース

全社でAI活用を進めたい企業

なお、このコースは令和4年度から令和8年度までの期間限定の制度で、令和8年度が最終年度です。活用を検討している場合は、計画届の提出期限(訓練開始の1ヶ月前)から逆算して早めに準備しましょう。

このコースでは経費助成に加えて、賃金助成も1人1時間あたり1,000円が上乗せされます。
賃金助成とは、研修を受けた時間に応じて支払われる助成です。

eラーニングや通信制で受ける研修は、経費助成の上限が中小企業で15万円までに下がります。
eラーニングとは、インターネット上の教材を使い、受講者が自分のペースで学ぶ訓練です。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)38〜39ページ

令和8年度は制度の拡充・変更が続いています。令和8年3月からは、事業展開やDX化と結びつけにくい研修でも「人事・人材育成に関する計画」に基づく訓練であれば対象になりました(中小企業は認定経営革新等支援機関による計画の確認が必要)。4月からは、賃上げ等の要件を満たして訓練に関連する機器を導入した中小企業への設備投資加算(導入費用の50%)が新設されています。一方、8月3日以降に提出する計画届からは、助成対象になる受講回数が1人あたり年度3回まで(うちeラーニングは1回まで)に制限されました。

人材育成支援コース

幅広い業務の訓練を対象にしているのが、人材育成支援コースです。
事業展開やDX化と結びつけにくいAI研修でも、職務と関連していれば使える可能性があります。

内容を以下にまとめました。

項目

内容

対象になる訓練

職務に関連する10時間以上のOFF-JT

経費助成率(中小企業)

・正規雇用労働者等:45%
・有期契約労働者等:70%

1人1訓練あたりの上限

・10時間以上100時間未満:15万円
・100時間以上200時間未満:30万円
・200時間以上:50万円

向いているケース

特定の部署からAI研修を始めたい企業

賃金助成は1人1時間800円で、事業展開等リスキリング支援コースより低い水準です。
有期契約の従業員を対象にすると経費助成率が70%まで上がるため、パートを多く抱える職場でも使いやすいコースです。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内(詳細版)14ページ

人への投資促進コース

人への投資促進コースでAI研修に使いやすいのは、定額制訓練です。
定額制訓練とは、1訓練あたりの経費が明確でなく、同額で複数の訓練を受講できるサービスを使った訓練です。
サブスクリプション型のeラーニングや、同時双方向型の通信訓練が当てはまります。

内容を以下にまとめました。

項目

内容

対象になる訓練

定額制サービスによる訓練。受講者1人あたり、修了した訓練の標準学習時間が合計10時間以上

経費助成率(中小企業)

60%。賃金要件等を満たすと75%

1人あたりの上限

受講者1人1月あたり2万円

向いているケース

学ぶ範囲を決めずにAIを試させたい企業

定額制訓練で助成金を利用する場合は、業務上の義務として所定労働時間内に研修を実施させる必要があります。
経費助成のみのため、賃金助成は出ません。

同じコースには高度デジタル人材訓練もあり、経費助成率は中小企業75%と高い水準です。
ただし対象になるのは、次の4つに限られます。

  1. レベル3・4の資格取得を目指す課程

  2. 第四次産業革命スキル習得講座

  3. マナビDXのレベル3・4の講座

  4. 大学の情報系の課程

レベルはITスキル標準やDX推進スキル標準に基づき、公表されているマップや講座区分で決まります。
事業主側にも情報通信業であることやDX認定を受けていることなどの要件があるため、一般的なAI活用研修では使いにくいメニューです。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(人への投資促進コース)のご案内(詳細版)2ページ5〜6ページ9〜10ページ

教育訓練休暇等付与コース

研修を受けるための休暇制度を作った企業に支給されるのが、教育訓練休暇等付与コースです。
AI研修の費用ではなく、制度を導入して実際に適用したことに対して定額で助成されます。

内容を以下にまとめました。

項目

内容

対象になる訓練

従業員が自発的に受講する、事業主以外が実施する教育訓練

制度の要件

3年間で5日以上取得できる有給の教育訓練休暇を就業規則等に規定

助成額

1事業主あたり1回限り30万円(賃金要件等を満たす場合36万円)

向いているケース

従業員の自発的な学びを後押ししたい企業

気をつけたいのは、対象になる教育訓練の条件です。
業務命令ではなく従業員が自発的に受講し、かつ事業主以外が実施する訓練であることが求められます。

会社がAI研修を企画して受けさせる場合、このコースは使えません。
業務命令で実施するAI研修は、事業展開等リスキリング支援コースや人材育成支援コースで検討しましょう。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース・人への投資促進コース)のご案内(詳細版)8ページ18ページ20ページ

人材開発支援助成金以外の3つの支援制度

人材開発支援助成金以外にも、AI研修とあわせて使える支援制度があります。

  1. デジタル化・AI導入補助金

  2. 業務改善助成金

  3. 自治体独自の研修補助制度

3つとも対象になる経費が違うため、自社の状況に合わせて検討してみてください。
1つずつ解説していきます。

デジタル化・AI導入補助金

デジタル化・AI導入補助金は、令和7年度補正予算事業(2026年実施分)からIT導入補助金の名称が変わった制度です。
中小企業がITツール・AIツールを導入するときの費用の一部を、国が補助する仕組みです。

制度の内容は以下のとおりです。

項目

内容

制度の目的

ITツール・AIツールの導入による業務のデジタル化

AI研修との関係

研修とセットで導入するツール側の費用をまかなう制度

使うときの注意

年度・公募回ごとに枠と要件を確認。通常枠の補助率は原則1/2以内(最低賃金近傍の事業者は2/3以内、小規模事業者は賃上げ等の要件を満たすと最大4/5)

申請枠は通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠・複数者連携デジタル化・AI導入枠に分かれています。

補助の対象になるのは、事務局に登録されたITツールの導入費用です。
補助金のメインはあくまで「AIツールの導入」です。
ツールの初期設定や操作説明といった「導入研修」であればツールとセットで補助対象になりますが、研修単体で申請することはできません。

枠と要件は年度と公募回ごとに見直されるため、申請の前に公式サイトで実施中の公募回を確認してください。

参考:中小機構|デジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)のご案内

業務改善助成金

賃金の引き上げとあわせて人材育成に使えるのが、業務改善助成金です。
事業場内最低賃金を50円以上引き上げ、生産性向上のために設備投資等をした中小企業に、費用の一部が助成されます。
事業場内最低賃金とは、事業場でいちばん低い時間給のことです。

制度の内容を以下にまとめました。

項目

内容

制度の目的

事業場内最低賃金の引き上げと生産性向上の後押し

AI研修との関係

対象経費に人材育成・教育訓練を明記

使うときの注意

賃金引き上げが必須要件。助成額は引き上げ額と対象人数で決定

事業の完了期限は交付決定の属する年度の1月31日のため、研修の日程は期限から逆算して組みましょう。
賃上げとAI研修を同じ年度に進める予定があれば、人材開発支援助成金と並べて検討したい制度です。

参考:厚生労働省|業務改善助成金

自治体独自の研修補助制度

自治体が独自に用意している研修補助制度も、AI研修の費用に使えます。

例えば東京都には、公益財団法人東京しごと財団が実施するDXリスキリング助成金があります。
※DXとは、デジタル技術で業務や事業の仕組みを変える取り組みのことです。

助成の内容は以下のとおりです。

項目

内容

制度の目的

DX推進に必要な知識・技能の習得の支援

AI研修との関係

・助成率は助成対象経費の3/4
・1人1研修75,000円、1企業100万円が限度

使うときの注意

研修開始予定日の1ヶ月前までに申請。対象は都内で事業を営む中小企業等

受付期間は令和8年3月1日から令和9年2月28日までです。

対象になるのは1研修あたり3時間以上10時間未満の研修で、同じ研修について国や自治体から他の助成を受けている場合は使えません。10時間以上のAI研修は人材開発支援助成金、10時間未満の短時間研修はDXリスキリング助成金、という使い分けが基本です。

同じような研修支援は他の自治体にも用意されているので、自社の所在地の自治体サイトを確認してみてください。
国の助成金と地域の制度を見比べると、AI研修の自己負担をさらに抑えられる制度が見つかるでしょう。

参考:東京しごと財団|令和8年度DXリスキリング助成金

AI研修の助成額を計算する方法

AI研修で戻ってくる金額は、経費助成と賃金助成の2つを足して計算します。

以下で紹介する助成率・上限額・単価は、すべて事業展開等リスキリング支援コースのものです。
1つずつ解説していきます。

経費助成は研修費に助成率をかけて求める

経費助成は、助成の対象になる経費に助成率をかけて求めます。
対象になるのは受講料や教科書代など、訓練に直接必要な費用です。

事業展開等リスキリング支援コースの助成率は、中小企業が75%・大企業が60%です。
ただし1人1訓練あたりの限度額が研修の時間ごとに決まっており、計算した額が限度額を超える場合は上限額までとなります。

限度額は以下のとおりです。

訓練時間

中小企業の上限

大企業の上限

10時間以上100時間未満

30万円

20万円

100時間以上200時間未満

40万円

25万円

200時間以上

50万円

30万円

上限額は厚生労働省の案内で確認できます。
自社のAI研修の費用と研修時間がわかれば、経費助成でいくら戻るかを見積もれます。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)

賃金助成は研修時間に応じて上乗せされる

経費助成に上乗せして受け取れるのが賃金助成です。
計算の対象になるのは、従業員が実際に研修を受けた時間です。

事業展開等リスキリング支援コースの単価を以下にまとめました。

企業規模

1人1時間あたりの額

中小企業

1,000円

大企業

500円

賃金助成が出るのは1人1訓練あたり1,200時間までで、超えたぶんは加算されません。

専門実践教育訓練の指定講座の場合は、限度が1,600時間になります。
eラーニングや通信制による訓練は経費助成だけで、賃金助成は出ません。
定額制サービスによる訓練と育児休業中の訓練も同じ扱いです。

所定労働時間外や所定休日に実施した研修も、賃金助成の対象外となります。
就業時間内に集合研修として実施すれば、経費助成に賃金助成を上乗せして計算できます。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)30ページ38ページ

eラーニングは令和8年4月の改正で上限が下がった

eラーニングと通信制による訓練は、令和8年4月8日の改正で経費助成の上限額が下がりました。
改正前後の上限額を以下にまとめました。

項目

改正前

改正後

中小企業の上限額

30万円

15万円

大企業の上限額

20万円

10万円

見直し後の上限額は、訓練の時間数にかかわらず一律で適用されます。

集合研修(通学制)や同時双方向型の通信訓練と組み合わせたハイブリッド型の研修であっても、eラーニングが含まれる場合は制限の対象となり、上限額の扱いは変わりません。
同時双方向型の通信訓練とは、講師と受講者がリアルタイムでやり取りしながら進める訓練です。

動画教材を中心にAI研修を実施する場合は、下がった上限額をもとに助成額を計算しましょう。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(コース共通)改正 令和8年4月8日からの変更点について

17万円台の研修が4万円台の負担になる例

実際の負担額がイメージしやすいのが、中小企業向けの訪問型AI研修の例です。

176,000円(税込)の研修に助成金を適用した場合の内訳が、研修会社のサイトに掲載されています。
金額は以下のとおりです。

項目

金額

研修価格

176,000円(税込)

経費助成

120,000円

賃金助成

10,000円(10時間分)

自己負担

46,000円(税込)

参考:クラウドワークス アカデミー|AI活用研修

経費助成の120,000円は、税抜価格160,000円に中小企業の助成率75%をかけた額です(要確認:掲載元の算出根拠と一致するか確認)。賃金助成の10,000円は、中小企業の1時間あたり1,000円に研修時間10時間をかけた額です。
研修時間は対面6時間とオンライン(講師とリアルタイムでやり取りする同時双方向型)4時間の合計10時間で、助成金が求める10時間以上の要件をちょうど満たす設計です。

助成の対象になる経費の範囲は研修の内容によって違うため、掲載額をそのまま自社に当てはめるのは避けましょう。

実際の助成額は労働局の審査で決まります。
掲載されている内訳を見れば、AI研修の助成額と自己負担がどれくらいの規模になるかをつかめます。

AI研修の助成金を申請する5ステップ

ここからは、事業展開等リスキリング支援コースを申請する流れを解説します。

申請の手順は以下のとおりです。

  1. 職業能力開発推進者を選任する

  2. 研修開始1ヶ月前までに計画届を出す

  3. 計画どおりに研修を実施する

  4. 研修終了後2ヶ月以内に支給申請する

  5. 審査後に助成金が入金される

計画届を出しただけで支給が決まるわけではなく、審査は支給申請のあとにまとめて実施されます。
1つずつ解説していきます。

1. 職業能力開発推進者を選任する

申請の最初の手続きは、職業能力開発推進者の選任です。

職業能力開発推進者とは、社内の人材育成の計画づくりや訓練の実施を担当する人です。
事業所ごとに1名以上が必要で、教育訓練部門の部課長や人事・労務の担当部課長など、訓練の企画や実施に権限をもつ人から選びます。

常時雇用する労働者が100人以下の事業所に適任者がいない場合は、本社の推進者が兼任してもかまいません。

あわせて、事業内職業能力開発計画の策定と従業員への周知も済ませます。
事業内職業能力開発計画とは、従業員にどんな訓練を受けさせるかをまとめた社内の計画書です。

どちらも職業能力開発促進法で事業主の努力義務とされており、計画届を出す日までに整えておきましょう。

参考:参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)4ページ5ページ

2. 研修開始1ヶ月前までに計画届を出す

研修の開始前に労働局へ出すのが、職業訓練実施計画届です。
計画届とは、どんな訓練を誰に受けさせるかを事前に届け出る書類です。

提出先は事業所の所在地を管轄する労働局で、訓練開始日から起算して6ヶ月前から1ヶ月前までの間に提出します。

計画届の提出時に必須となる書類は以下のとおりです。

  • 職業訓練実施計画届(様式第1-1号)

  • 事業展開等実施計画(様式第1-3号)

  • 対象労働者一覧(様式第3-1号)

  • 事前確認書(様式第11号)

  • 訓練カリキュラム・受講案内

事業外訓練(外部の研修会社が主催する講座を受講する形式)なら、教育訓練機関との契約書や受講案内の写しも添えます。
ステップ1の推進者の選任と事業内職業能力開発計画は、この提出日までに済ませておきましょう。

提出方法は窓口への持参・郵送・電子申請の3つで、郵送は労働局に到達した日が提出日になります。

電子申請は雇用関係助成金ポータルから手続きし、GビズIDの取得が必要です。
GビズIDとは、1つのIDで複数の行政サービスにログインできるアカウントです。

AI研修の日程が決まったら、開始1ヶ月前を切る前に計画届を提出してください。

参考:厚生労働省|事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)41〜42ページ

3. 計画どおりに研修を実施する

研修は、計画届に記載した日程と内容のとおりに実施します。

計画の内容に変更が出た場合は、変更届を期限までに提出します。
期限までに出さずに変更後の訓練を実施すると、その部分は助成の対象になりません。
実施日を動かす場合の期限は、当初の実施日と変更後の実施日のうち早いほうの前日までです。

研修の期間中にそろえておくものは以下のとおりです。

  • OFF-JT実施状況報告書に残す実施日と時間

  • 訓練期間中に支払った賃金の記録

  • 支給申請までに支払う訓練費用

研修には、自社で企画・主催する「事業内訓練」と、研修会社が主催する講座を受講する「事業外訓練」があります。

自社が企画して主催する研修は、外部の講師を呼んでも社外の会場を使っても事業内訓練にあたります。

事業内訓練には講師の要件があり、通学制か同時双方向型の通信訓練でしか助成されません。
教育訓練機関が企画・主催する研修を受講する場合は、事業外訓練の扱いです。

対象は訓練時間10時間以上のOFF-JTで、職務に直接関連する内容が条件になります。

訓練期間中も対象の従業員へ賃金を適正に支払いながら、届け出たとおりのAI研修を実施しましょう。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)18〜19ページ43ページ

4. 研修終了後2ヶ月以内に支給申請する

研修が終わったあとに出すのが、支給申請書です。
支給申請とは、かかった費用と訓練の実施状況を報告して助成金を請求する手続きです。

訓練終了日の翌日から起算して2ヶ月以内に、労働局へ提出します。
訓練終了日は、計画届の「訓練の実施期間」の最終日に記載した日です。

支給申請で出す主な書類は以下のとおりです。

  • 支給要件確認申立書

  • 支給申請書(様式第4-2号)

  • 経費助成の内訳(様式第6-2号)

  • 受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)

  • 通学制の場合はOFF-JT実施状況報告書

※疎明書は令和8年5月14日の改正で提出が必要になった書類です。様式は改正のたびに変わるため、厚生労働省の申請書類ページから最新版を入手してください。

2ヶ月の期限は厳守とされているため、研修が終わったらすぐに支給申請の準備を始めましょう。

参考:厚生労働省|事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)44〜45ページ

5. 審査後に助成金が入金される

助成金の支給・不支給は、支給申請の内容を労働局が審査したうえで決まります。

令和7年度以降は申請項目と添付書類が整理・統合され、審査のタイミングも見直されました。
支給申請から入金までの流れは以下のとおりです。

工程

目安

支給申請書の提出

訓練終了日の翌日から2ヶ月以内

労働局の審査

提出書類と支給要件の確認

支給・不支給の決定

支給申請後に一括して判断

助成金の入金

決定後に指定口座へ振り込み

関係書類の保存

支給決定後も5年間

厚生労働省の資料には審査に時間がかかると記載があり、入金までの日数は公表されていません。

AI研修の助成金は、審査を経てから振り込まれる後払いの仕組みです。
支給申請から入金までは期間が空くため、5ステップの最後まで書類をそろえて審査に備えてください。

参考:厚生労働省|事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)7ページ40ページ

AI研修が助成金の対象外になる5つのケース

要件を満たしていない研修は、申請しても助成金が支給されません。

対象外になりやすいケースは以下のとおりです。

  1. 研修開始後に申請すると対象外になる

  2. 業務と関係のない内容は認められない

  3. 出席記録や資料が不足すると不支給になる

  4. 所定労働時間外の研修は賃金助成が出ない

  5. 不正受給は全額返還のうえ企業名も公表される

ここでは人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースを例に、支給されない条件を整理します。
それぞれの条件を確認していきます。

研修開始後に申請すると対象外になる

計画届の提出が研修の開始後になると、その研修は助成金の対象になりません。
事業展開等リスキリング支援コースの計画届は、訓練開始日から起算して6ヶ月前から1ヶ月前までの間に提出すると決まっています。

提出のタイミングごとの扱いは以下のとおりです。

計画届を出すタイミング

助成金の扱い

訓練開始の6ヶ月前から1ヶ月前

提出期間内で申請できる

訓練開始の1ヶ月前を過ぎたあと

提出期間を外れて対象外

研修が始まったあと

さかのぼって申請できない

新規に雇い入れた労働者だけが対象

訓練開始日の前日まで提出できる

ただし、新しく雇い入れた労働者だけを対象にする研修で、雇い入れから訓練開始まで1ヶ月以内なら、訓練開始日の前日まで提出できます。
また、天災などのやむを得ない理由があるときも、同じ扱いです。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)41ページ

業務と関係のない内容は認められない

助成金の対象になるのは、職務に直接関連するAI研修です。
研修の中身が業務と結びついていないと、支給申請をしても認められません。

対象になる研修とならない研修の違いは以下のとおりです。

AI研修の内容

対象になるかの判断

担当業務の課題をAIで解決する研修

職務に直接関連する訓練として対象

教養として学ぶAIの一般知識

職務との関連を説明できず対象外

受講後に担当する職務が未定の研修

直接関連する訓練と認められにくい

対象になるかは、受講する従業員の職務と研修のカリキュラムを照らして判断されます。
業務とのつながりを説明できないAI研修は、助成の対象になりません。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)13ページ18ページ

出席記録や資料が不足すると不支給になる

訓練の実施を証明する書類がそろっていないと、研修を終えていても不支給になります。
支給申請では、訓練日ごとの実施時間・出席日・受講時間を証明できる書類が求められるためです。

あわせて、受講時間が実訓練時間数の8割以上であることも対象労働者の要件です。
出席簿や受講記録が残っていないと、実施したAI研修でも支給の審査を通過できないので注意してください。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)17ページ

所定労働時間外の研修は賃金助成が出ない

賃金助成の対象から外れるのは、所定労働時間の外で実施した研修です。
休日に研修を実施する場合、事前に休日を別の日と入れ替える「休日の振替」の手続きをして労働時間内(出勤日)の扱いとしていなければ、賃金助成の対象にはなりません。

研修の受け方ごとの扱いは以下のとおりです。

AI研修の受け方

賃金助成の扱い

所定労働時間内の受講

賃金助成の対象

所定労働時間外の受講

対象外で経費助成のみ

所定休日の受講

対象外(別日への振替を除く)

eラーニング・通信制での受講

経費助成のみで賃金助成なし

定額制のサービスや育児休業中の訓練も、経費助成だけで賃金助成はありません。
所定労働時間の外にAI研修を組むと、受け取れるのは経費助成だけです。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)

不正受給は全額返還のうえ企業名も公表される

不正受給とは、偽りその他不正の行為で本来受けられない助成金を受けたり、受けようとしたりすることをいいます。

支給申請の書類に事実と異なる記載や証明をした事業主は、支給の対象になりません。
不正受給すると、助成金の返還が必要となり、事業主名も公表されます。
不正受給をしてから5年以内は、支給申請をしても支給の対象になりません。

返還には年3%の延滞金と、返還額の20%の違約金が上乗せされます。
また、悪質な場合は刑事告訴の対象です。

事業主名の公表と助成金の返還への承諾は、申請時に提出する支給要件確認申立書で確認されます。

AI研修の実績を実態どおりに記録していれば起きない話ですが、書類と実態がずれると不正受給として扱われる可能性があるので注意してください。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)7ページ8ページ

AI研修の助成金を申請する前の3つの確認事項

対象になる研修が決まったら、申し込みの前に社内の状況を確かめておきましょう。

確認しておきたいのは以下の3つです。

  1. 助成金は後払いのため立て替え資金を用意する

  2. 自社が中小企業の定義に当てはまるか確認する

  3. 社労士に依頼する場合の費用相場を把握しておく

資金繰り・企業規模の区分・外注費用の3つがはっきりすると、申請の見通しを立てやすくなります。
1つずつ解説していきます。

助成金は後払いのため立て替え資金を用意する

助成金は研修が終わったあとに支給されるため、費用はいったん自社で負担します。

訓練にかかった費用は、支給申請までに全額の支払いを終えている必要があります。
立て替える費用と考え方は以下のとおりです。

立て替える費用

考え方

AI研修の受講料・教材費

支給申請までに全額を支払い済みにする

研修中の従業員の賃金

通常どおり支給し、あとから賃金助成

受講にともなう旅費・宿泊費

経費助成の対象外で自社の負担

厚生労働省の案内にも審査に時間がかかると記載があり、申請から入金までは期間が空きます。
研修費と賃金を先に負担できる資金があるかを、申し込みの前に確かめておきましょう。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)10ページ32ページ

自社が中小企業の定義に当てはまるか確認する

経費助成率と賃金助成の額を決めるのは、助成金の中小企業事業主の定義です。
前述のとおり、事業展開等リスキリング支援コースの助成率は中小企業75%・大企業60%と差があります。

厚生労働省の案内に載っている中小企業事業主の範囲は以下のとおりです。

主たる事業

資本金の額または出資の総額

企業全体で常時雇用する労働者の数

小売業(飲食店を含む)

5,000万円以下

50人以下

サービス業

5,000万円以下

100人以下

卸売業

1億円以下

100人以下

その他の業種

3億円以下

300人以下

資本金と労働者数のどちらかに当てはまれば、中小企業事業主として扱われます。
資本金をもたない一般社団法人・医療法人・学校法人などは、労働者数だけの判断です。

主たる事業がどれにあたるかは、総務省の日本標準産業分類の区分で決まります。
区分は支給申請の時点で判断されるため、申請の前に自社の資本金と労働者数を確かめてください。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)12ページ38ページ

社労士に依頼する場合の費用相場を把握しておく

社会保険労務士に手続きを任せる場合の費用は、依頼する範囲によって違います。
社会保険労務士(社労士)とは、労働・社会保険の手続きや助成金の申請を代行できる国家資格者です。

依頼する範囲ごとの費用の目安は以下のとおりです。

依頼する範囲

費用の目安

計画届の作成と提出のみ

3万円〜10万円

計画届から支給申請まで一式

10万円〜30万円

受給額に応じた成功報酬型

受給額の10%〜20%

社労士の費用は事務所によって幅があります。
自社で手続きする時間や人員がない場合や、確実な受給を目指したい場合は、無料相談などを活用して依頼を検討すると良いでしょう。

助成金の対象になるAI研修を選ぶ5つのコツ

助成金を前提にAI研修を選ぶときは、通常の研修選びとは確かめる箇所が違います。

選ぶときのコツは以下のとおりです。

  1. 助成金の対象になる研修かを研修会社に確認する

  2. 助成金の申請サポートがある研修会社を選ぶ

  3. 講師が現場の実務に詳しいかを確かめる

  4. 研修後のフォロー体制があるかを確かめる

  5. パソコンが苦手な社員でも受けられるか見る

要件を外した研修を選ぶと、費用の全額が自己負担になります。
確認するポイントを順に説明します。

助成金の対象になる研修かを研修会社に確認する

助成金の要件を満たす研修かは、申し込む前に研修会社へ確認しましょう。
前述のとおり、対象になるのは10時間以上のOFF-JTで、職務に直接関連する内容に限られます。

パンフレットの説明だけでは、自社の研修が当てはまるか判断がつきません。
研修会社に確認しておく項目は以下のとおりです。

研修会社に聞く項目

確認する理由

研修時間の合計

10時間に届かないと申請できない

実施の形式

業務から離れたOFF-JTかどうか

カリキュラムと職務の関係

誰のどの職務に関連するかを説明できるか

対面かeラーニングか

eラーニングは賃金助成が出ない

同じ内容の研修でも、対面や同時双方向型で実施すれば賃金助成が上乗せされます。

助成金を使った実施の経験がある研修会社なら、この確認は短時間で終わります。
口頭の回答だけで進めず、カリキュラムと時間割を書面でもらっておきましょう。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)

助成金の申請サポートがある研修会社を選ぶ

助成金の申請サポートがある研修会社を選ぶと、研修担当者の負担を減らせます。
計画届にはカリキュラムや受講案内を添付し、支給申請には訓練日ごとの出席簿を出します。

研修会社から受け取る資料と、それを使う場面は以下のとおりです。

研修会社から受け取る資料

使う場面

訓練カリキュラム・受講案内

計画届の添付書類

教育訓練機関との契約書

計画届の添付書類

受講料の内訳がわかる書類

支給申請の経費助成の内訳

訓練日ごとの出席簿

支給申請の実施状況の報告

これらをそろえてくれる会社なら、あとは様式に記入するだけで済みます。
申し込みの前に、助成金を使った実施の経験があるかを研修会社に聞いておきましょう。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)41ページ42ページ45ページ

講師が現場の実務に詳しいかを確かめる

講師の経歴は、研修の成果だけでなく助成金の要件にも関わります。
助成金の対象は職務に直接関連する訓練に限られており、現場の業務を知る講師ほど要件に沿った内容を組めます。

講師について確かめることは以下のとおりです。

講師について確かめること

研修内容への反映

自社と近い業種での指導経験

現場の言葉で説明してもらえる

事前ヒアリングの実施

日々の業務に沿った演習を組める

実務でAIを使った経験

使いどころと限界を具体的に聞ける

実務経験や指導の年数

事業内訓練では講師要件を満たす必要がある

研修の打ち合わせでは、自社のどの業務を題材にするかまで相談してみてください。
現場の業務に沿った内容を作れる講師であれば、助成金の要件も満たしやすくなります。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)19ページ45ページ

研修後のフォロー体制があるかを確かめる

学んだ内容が現場に残りやすいのは、研修が終わったあとに相談できる窓口がある研修です。
AIツールは受講中に操作できても、実際の業務で使い始めると細かい疑問が出てくるでしょう。

フォローの内容を以下にまとめました。

フォローの内容

現場に定着する理由

研修後のオンライン相談

実務で詰まった箇所をすぐ聞ける

質問を受け付ける期間

使い始めの時期に相談できる

教材や録画の共有

欠席者や後任者にも同じ内容を届けられる

活用状況の振り返り

使われないまま終わるのを防げる

対面の講義を終えたあとに、オンラインで質問を受け付ける研修も出てきています。
フォローまで用意された研修を選べば、助成金で育てた社員のスキルを業務に活かし続けられるでしょう。

パソコンが苦手な社員でも受けられるか見る

パソコンの操作に不慣れな社員がいる企業は、受講のしやすさから研修を選びましょう。
助成金は受講した社員の人数と時間で計算されるため、途中で受講をやめる人が出ると助成額も減ります。

受講しやすさを見る箇所は以下のとおりです。

受講しやすさを見る箇所

苦手な社員が続けられる理由

訪問型で対面の指導があるか

手元の画面を見ながら教われる

1回あたりの受講人数

少人数制であれば、手が止まった人に講師が気づける

事前ヒアリングの有無

理解度に合わせて内容を調整できる

演習の進め方

操作しながら覚えられる

中小企業向けには、パソコンが苦手な現場に向けて講師が会社まで訪問するAI研修もあります。
ITに不慣れな社員が多い会社ほど、受講のしやすさと助成金の要件を合わせて確かめていきましょう。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)17ページ38ページ

AI研修の助成金に関するよくある質問

最後に、AI研修の助成金についてよくある質問に答えていきます。

個人事業主でもAI研修の助成金は使える?

個人事業主でも、従業員に研修を受けさせるなら助成金を使えます。

従業員がいる個人事業主が検討できる助成金は以下のとおりです。

  • 人材開発支援助成金(従業員の研修が対象)

  • 東京都のDXリスキリング助成金

東京都のDXリスキリング助成金は、都内で事業を営む中小企業等が対象で、個人事業主も含まれます。

ただし従業員に研修を受けさせる制度のため、雇用している社員がいるのが前提です。
従業員がいない場合は、雇用保険の被保険者がいないので人材開発支援助成金を使えません。

教育訓練給付金も雇用保険の被保険者か、被保険者だった人が対象です。
会社員として雇用保険に入っていた期間がない事業主は、対象に含まれません。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)17ページハローワークインターネットサービス|教育訓練給付金東京しごと財団|令和8年度DXリスキリング助成金

助成金の申請は電子申請でもできる?

電子申請に対応しているのは、計画届と支給申請の両方です。
提出先のシステムと事前に必要なIDは「2. 研修開始1ヶ月前までに計画届を出す」で解説したとおりです。

途中から提出方法を切り替えられないため、最初にどちらで出すかを決めておきましょう。
AI研修の助成金を電子申請で進めるなら、計画届の段階からGビズIDを用意してください。

参考:厚生労働省|雇用関係助成金ポータル

助成金と補助金は併用できる?

同じ経費を対象に、2つの制度から重複して受け取ることはできません。
厚生労働省の案内にも、同一の経費や賃金で複数の制度へ申請すると、どちらか一方しか支給されない場合があると記載されています。

ただし、対象になる経費を分ければ両方を使えるケースもあります。
例えばAI研修の費用は人材開発支援助成金、あわせて導入するAIツールの費用はデジタル化・AI導入補助金に分ける形です。

どの費用をどの制度で申請するかは、都道府県労働局や制度を所管する自治体に事前に確認しておきましょう。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)10ページ

従業員1人だけでも申請できる?

対象になる社員が1人でも、要件を満たせばAI研修の助成金を申請できます。
人数の多さではなく、訓練の中身と対象になる社員の条件で決まります。

前述のとおり、人材開発支援助成金で満たすべき条件は以下の3つです。

  • 訓練時間が10時間以上

  • 職務に直接関連する内容

  • 対象の社員が雇用保険の被保険者

被保険者であることは、訓練の実施期間中も続いている必要があります。
経費助成の限度額も1人1訓練あたりで決まるため、対象が1人でも計算の仕方は同じです。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)17ページ38ページ

パートやアルバイトも対象になる?

パート・アルバイトも、雇用保険に加入していれば対象になります。
人材開発支援助成金は雇用形態ではなく、雇用保険の被保険者かで判断されます。

雇用形態ごとの扱いは以下のとおりです。

雇用形態

対象になるか

正社員

対象

パート・アルバイト

雇用保険に加入していれば対象

契約社員などの有期雇用

対象。人材育成支援コースでは助成率が上がる

業務委託・請負

対象外

人材育成支援コースでは、有期契約労働者等への人材育成訓練の経費の助成率が70%と、正社員などの45%より高く設定されています。

一方、業務委託や請負で働く人は事業主に雇用されていないため、助成の対象になりません。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内(詳細版)

まとめ|AI研修は助成金を活用して始めよう

さっそくAI研修の助成金の申請を進めてみましょう。

AI研修の助成金を申請する5ステップは以下のとおりです。

  1. 職業能力開発推進者を選任する

  2. 研修開始1ヶ月前までに計画届を出す

  3. 計画どおりに研修を実施する

  4. 研修終了後2ヶ月以内に支給申請する

  5. 審査後に助成金が入金される

「自社は助成金の対象になるか判断できない…」と迷っている場合は、まず無料の診断を使ってみてください。
対象になるかを先に確かめておけば、計画届の準備に進めます。

クラウドワークス アカデミー」のAI活用研修では、提携先の社労士法人が申請をサポートします。
無料で相談できるので、まずは自社が対象になるかを確かめてみてください。

この記事が、貴社のAI研修の参考になれば幸いです。

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