
業務委託は扶養の壁がちがう?|パートとの掛け持ちはいくらまで働けるか【2026年版】
「扶養内で働きたいから、年収は◯◯万円まで」——パート勤めの方なら一度は意識したことのある「年収の壁」。ですが、クラウドソーシングなどの在宅副業(業務委託)の収入は、パートの給与と同じ物差しでは測れません。
結論から言うと、業務委託の収入には「給与所得控除」が使えないため、同じ壁でも実質のラインが手前に来ます。この記事では、パート+在宅副業の合算判定のしくみを、2026年の最新の壁とあわせて解説します。
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同じ「年収100万円」でも、税金上の「所得」はちがう
年収の壁を考えるうえで、まず押さえたいのが「収入」と「所得」の違いです。

パート(給与):給与収入から「給与所得控除」(2026年分は最低65万円)を引いた残りが所得になります。年収100万円なら所得は35万円です。
在宅副業(業務委託):クラウドソーシングの報酬などは給与ではないため、給与所得控除が使えません。「売上 − 経費」がそのまま所得になります。経費が0円なら、売上100万円=所得100万円です。
税金まわりの扶養(配偶者控除など)は、この「所得」の合計で判定されるのが一般的です。だから、業務委託の収入は同じ金額でも壁に早く当たるのです。
2026年の「年収の壁」一覧
2026年7月時点の主な壁は次の5つです。

106万円の壁(社会保険)
従業員51人以上の勤務先で週20時間以上働き、賃金が年106万円相当を超えると、勤務先の社会保険に加入します。この壁はパート先の給与だけで判定されるため、副業の収入は影響しません。なお、2026年10月には賃金要件が撤廃される予定で、以後は「週20時間以上」が実質の基準になる見込みです。
110万円の壁(住民税)
合算の収入が給与収入換算でおおむね110万円を超えると、本人に住民税がかかり始めます。非課税のラインは自治体により異なるため、正確にはお住まいの自治体でご確認ください。
130万円の壁(社会保険)
配偶者の扶養(被扶養者認定)のラインです。一般的にはパートの給与と副業の(売上 − 経費)を合算した金額で判定されます。超えると扶養から外れ、国民健康保険・国民年金への加入、または勤務先の社会保険への加入が必要になります。2026年4月からは労働契約ベースの判定に変わり、一時的な収入増ではただちに外れない扱いが一般的です。ただし、副業収入の扱いは加入先の健康保険組合によって異なるため、必ず加入先にご確認ください。
136万円の壁(税扶養・配偶者控除)
2026年分は、給与収入換算136万円(所得ベース71万円)を超えると配偶者控除の対象外になります。ただし配偶者特別控除により169万円までは満額相当、207万円まで段階的に控除が続くため、ここは「手取りが急減する壁」ではありません。
178万円の壁(所得税)
2026年分は、給与収入換算178万円(所得ベース113万円)を超えた分に所得税がかかります(2025年分は160万円でした)。超えた分だけへの課税なので、稼ぐほど手取りは増えます。
パート+業務委託の「合算」はこう判定される
掛け持ちの場合、壁ごとに判定の物差しが違う点に注意が必要です。
税金の壁(住民税・税扶養・所得税):パートの給与所得 + 副業の所得(売上−経費)の「合計所得」で判定
社会保険の壁(130万円):パートの給与収入 + 副業の(売上−経費)の「合算収入」で判定(一般的な扱い)
社会保険の壁(106万円):パートの給与だけで判定
計算例で見てみよう
ケース1:パート96万円 + 副業30万円(経費0円)
合計所得は(96−65)+30=61万円で、税扶養のライン(所得71万円)の内側。社保の合算は126万円で130万円の内側ですが、後述の「働き損ゾーン」に入りかけている点は要注意です。
ケース2:副業のみ100万円(経費0円)
所得は100万円。税扶養のライン(所得71万円)を超えるため、年収136万円どころか100万円で配偶者控除の対象外になります。これが「業務委託は壁が手前に来る」の典型例です。
ケース3:パート50万円 + 副業60万円(経費0円)
パートは65万円以下なので給与所得0円、合計所得は60万円で税扶養の内側。ただし住民税の所得ライン(45万円)は超えるため、少額の住民税がかかる可能性があります。
「実質ライン」で考えるとわかりやすい

同じ「税扶養の壁」でも、収入がパートだけなら136万円、業務委託だけなら71万円(経費0円の場合)。あなたの収入の内訳によって、壁の実質ラインは変わります。
扶養の壁かんたん計算機は、パート・副業・経費を入れるだけで、この実質ラインを壁ごとに自動計算します。ご自身の数字で一度確かめてみてください。
手取り逆転(働き損)ゾーンに注意
合算収入がおおむね120〜140万円の帯では、社会保険料の負担が始まることで「収入は増えたのに手取りは減った」という逆転が起こる場合があります。この帯に入りそうな方は、(1)壁の内側に抑える、(2)思い切って壁の先(目安150万円以上)まで稼ぐ、のどちらかに寄せるのが一般的なセオリーです。
扶養内で働くための実務ポイント
経費の記録を残す:業務委託の所得は「売上 − 経費」。通信費や機材代など、収入を得るために直接必要な費用を記録しておきましょう(経費にできる範囲の個別判断は税務署・税理士へ)。
年末が近づいたら合算をチェック:パートの給与明細と副業の売上を合わせて、壁との距離を確認する習慣を。
健康保険組合に確認する:130万円の判定における副業収入の扱いは組合によって異なります。扶養の認定条件は加入先が最終判断します。
制度改正を追う:2026年10月の106万円の壁(賃金要件)撤廃予定など、壁は毎年のように動きます。
よくある質問
Q. パートと業務委託の掛け持ちでも年末調整だけで済みますか?
A. 一般的には、パート分は勤務先の年末調整、副業分は確定申告が必要になります(副業の所得が少額の場合の申告要否は基準があるため、税務署等でご確認ください)。
Q. 副業の収入はパート先や配偶者の会社に伝わりますか?
A. 一般的には、扶養手当や被扶養者の認定・再確認の際に収入の申告を求められることがあります。勤務先や配偶者の会社のルールを事前に確認しておくと安心です。
Q. 経費はどこまで認められますか?
A. 一般的には、その収入を得るために直接必要な費用(通信費・機材・書籍代など)が対象と考えられています。家事按分などの個別判断は税理士等にご相談ください。
Q. 130万円を一時的に超えたらすぐ扶養から外れますか?
A. 2026年4月から労働契約ベースの判定になり、一時的な超過ではただちに外れない扱いが一般的とされています。最終的な認定は加入先の健康保険組合の判断です。
Q. 学生や親の扶養の場合も同じですか?
A. 本記事は配偶者の扶養を前提にしています。親の扶養(扶養控除)や学生の場合は基準が異なるため、別途ご確認ください。
まとめ:自分の「実質ライン」を1分でチェック
業務委託には給与所得控除がないため、同じ壁でも実質ラインが手前に来る
税金の壁は「合計所得」、社会保険の壁は「収入の合算」で判定されるのが一般的
収入の内訳で壁の位置が変わるからこそ、自分の数字での確認が大切
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※本記事は2026年7月時点の一般的な制度に基づく情報提供であり、個別の税務・社会保険の判断を行うものではありません。最終的な判断は税務署・お住まいの自治体・加入先の健康保険組合、または税理士等の専門家にご確認ください。
最終更新日:2026年7月27日



